裁判管轄

国際的な家族法の事件において裁判管轄というのは、国際的な裁判管轄のことをいいます。この場合の裁判管轄というのは、わが国の裁判所が総体としてこれを取扱うのが相当かどうかということをいいます。
従って、国際裁判管轄権が一旦肯定された場合は、その後は国内民訴法の各規定によって、わが国において、どの裁判所が取り扱うべきかという土地管轄を決めることになります。

ところで、この国際管轄を議論するのにあたっては、従来の判例の立場というのを確認しておくことは有意義でしょう。

この代表的な裁判例として、マレーシア航空事件・最判昭和56年10月16日があります。
この事件は、「当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念により条理にしたがって決定するのが相当であり、わが民訴法の国内の土地管轄に関する規定(中略)のいずれかがわが国内にあるときは、これらに関する訴訟事件につき、被告をわが国の裁判権に服させるのが右条理に適うものというべきである」としています。
その後、下級審がさらに「特段の事情」の概念のもとに具体的なアプローチを加えて、柔軟に対処ができるようにしていました(台湾遠東航空機事件・東京地裁昭和61年6月20日など)

その後、平成23年の民事訴訟法および民事保全法の一部改正に際して、国際裁判管轄に関する規定が新設されて、平成24年から施行されています。

しかしながら、人事訴訟法29条1項は、この国際民事裁判管轄に関する規定が適用されないことが明らかになっています。
(民事訴訟法 の適用関係)
第29条  人事に関する訴えについては、民事訴訟法第一編第二章第一節 、第百四十五条第三項及び第百四十六条第三項の規定は、適用しない。

現在、人事訴訟事件及び家事事件に関しては、国際裁判管轄法制の整備に関する要綱案(平成27年9月18日)が公表されている段階です。

一般論としては、わが民訴法の国内の管轄に関する規定のいずれかが日本国内の裁判所いに認められる場合には、日本国内の裁判所に認められる場合には、日本に国際管轄が認められるとしながら、日本で裁判を行うことが当事者の公平、裁判の適正、迅速の理念に反する場合には、否定される場合もあるということになります。

また、上の要綱案の定める事情も参考になるでしょう。