遺留分制度の見直し(1) 

遺留分制度についての見直しです。

遺留分というのは、 というものです。改正前は、遺留分に関する権利(遺留分減殺請求権)を行使すると、当然に物権的効果が生じるとされていたために、目的財産が共有になるとされることがよくありました。

これによって、事業承継の支障となっているという指摘があったり、また、財産の共有持分として評価するので、数字が、大きくなって分かりにくい、という不都合な点が指摘されたりしました。そこで、

⑴ 遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し,遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにする。

⑵ 遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が,金銭を直ちには準備できない場合には,受遺者等は,裁判所に対し,金銭債務の全部又は一部の支払につき期限の許与を求めることができることにする。

とされたのが今回の改正です。

まずは、大きい変化として、遺留分「減殺」という用語は使わなくなったということがあげられます。法的には、「遺留分侵害額の請求権」となったということだそうです。いまだに破産宣告といってしまう私のような人にとっては、注意すべき改正事項です。

条文としては、

(1)については、1046条1項

遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

です。この請求は、必ずしも金額を明示して行う必要はないものと考えられており、また、10年の時効(債権法改正施行後は5年)にかかります。

また、今回の改正で、遺留分の額や算定方法が明確化されました。

具体的には、額は、1042条で、

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

とされ、計算方法は、1046条2項で

2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。
一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額
二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

とされています。

(2)については、1047条5項で

 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第一項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

になります。この期限の付与は、独立の訴え(形成の訴え)ですが、遺留分減殺請求権を行使したものからの請求のなかで、抗弁としてなしうるかについては、判断は固まっていません。